2022-23 東京大学の文化資源

2022年3月16日水曜日

東大の紹介

t f B! P L

こんにちは〜。東大文学部を3月で卒業予定、サポートスタッフのK.O.です。


突然ですがみなさん、東京大学本郷キャンパスにある「赤門」はご存知でしょうか?

……かなり有名なので、知っている方が多いと思います。


それではみなさん、この「赤門」というのは通称で、もっと長い正式名称があるということはご存知でしょうか?

……こちらに関しては、東大生でも知らない人が多いかもしれません。


この「赤門」の正式名称や、赤門をはじめとする東京大学の建物などを調べてみると、教育研究機関としての東京大学や、そのキャンパスの歴史が見えてきます。


そんな歴史のある東京大学は、いくつもの「文化資源」を抱えています。


(※権利の関係で、各建物の写真はここではお見せできません。ご了承ください。)


「文化資源」とは?

私が履修した文学部の講義では、「文化資源」の定義について「有形無形の資料」という説明がなされていました。……かなり広い定義ですね。

この記事で扱うのは、「建築・文書・資材といったもので、東京大学の歴史を知るきっかけとなる資料」です。


旧加賀屋敷御守殿門、通称赤門

東京大学の文化資源で最も有名なものが、本郷キャンパスにある赤門だと思います。見たことのある方は分かるかと思いますが、歴史のありそうな見た目ですよね。

この赤門の正式名称は「旧加賀屋敷御守殿門」といいます。


分解して見ていきましょう。

「旧」というのは「昔の」という意味ですね。

「加賀屋敷」というのは、江戸時代の加賀藩前田家が江戸に構えた屋敷のことです。江戸時代は参勤交代の制度があり、現在の石川県を中心に治めていた前田家も江戸に屋敷を持っていました。

「御守殿門」というのは、江戸時代に将軍の娘が大名と婚姻関係になった際、屋敷に設ける慣例となっていた門のことです。


江戸時代の文政10年(1827年)、江戸幕府第11代将軍・徳川家斉の女子である溶姫(ようひめ、やすひめ)が、前田家当主・前田斉泰の正室となります。その際に前田家の屋敷に設けられたのが、この加賀屋敷御守殿門でした。

竣工から190年以上経っており、おそらく東大にある建造物の中では最も古い存在です。

……さらっと言ってしまいましたが、江戸時代からの建造物が大学の校地にあるって、なかなかにすごいことですよね。


では、その門が東大の校地にあるのはなぜでしょうか。

答えは単純、「現在の本郷キャンパスの位置に前田家の屋敷があったから」です。

明治維新を経て、前田家の敷地は(旧)東京大学の敷地となります。その後、大学は帝国大学→東京帝国大学→東京大学と名称を変更しつつ、その敷地は現在も東京大学本郷キャンパスとして利用されています。


このように、赤門という文化資源の正式名称から、現在東大のキャンパスとして使われている土地の歴史を紐解くことができました。

この事実を知っているだけで、赤門や東大の見方が少し変わるかもしれません。


(※なお昨年より、赤門は耐震性能の関係で閉鎖中です。)


「内田ゴシック」

先ほど、1827年に造られた赤門が今もなおキャンパスに残っていると述べました。しかし当然ながら、すべての建物がそれほど昔からあるとは限りません。

それでは、東大の多くの建物は、いつ頃にできたのでしょうか。


東大の建物の中で赤門に並んで有名なものの一つが、本郷キャンパスの安田講堂だと思います。



……本郷キャンパスの話ばかりしてしまいましたね。新入生が2年間通うのは駒場キャンパスですし、そちらも見てみましょうか。駒場キャンパスといえば、正門を入ると正面には、時計台を構えた1号館が見えます。


さて、この安田講堂と駒場1号館ですが、かなり似たような形をしています。

さらには本郷キャンパスには、同じような出入口の形・同じような窓の形・同じようなタイルの配置が見られる建物が複数見られます。

この特徴的なデザインは、工学部建築学科の先生であった内田祥三が手掛け、「内田ゴシック」と呼ばれています。


東大の建物に「内田ゴシック」が複数見られるのには、1923年の関東大震災が関係していました。

震災により、それまで本郷キャンパスにあった建物の多くが壊れてしまいます。その中で残った建物の一つが、内田祥三の設計した建物(工学部2号館)でした。その堅牢な設計が評価され、震災後のキャンパスの復興計画は内田祥三に任されました。それゆえに、内田祥三の設計した建物、あるいはそのデザインを模倣した建物が多くなっているのです。


こういった歴史も意識しつつ、キャンパスに残る「内田ゴシック」の建物をじっくり見てみるのも面白いかもしれません。


建築以外の文化資源

「文化資源」とは、なにも建築だけではありません。


東京大学には「東京大学文書館」という組織があり、「東京大学にとって重要な法人文書及び本学の歴史に関する資料等の適正な管理、保存及び利用等を行うことにより、本学の教育研究に寄与することを目的」に2014年4月に設置されました(出典:東京大学ウェブサイト「東京大学文書館」)。

ここには「法人文書」や「資料等」という、書類の形をした文化資源が数多く保蔵されています。


東京大学には「総合研究博物館」もあります。本郷キャンパスの南の端にあり、充実した展示が見られます。

ここには標本など、建築でも書類でもない文化資源が数多く保蔵されています。


建築ほど分かりやすくはないかもしれませんが、建築以外にも数多くの文化資源を抱えているのが、東京大学という教育機関なのです。

そしてそれらの文化資源は、一定の手続きを踏めば、学生が見ることのできるものも多いはずです。


他にもいろいろ

ここで紹介したものは、東大の抱える文化資源のごく一部に過ぎません。

今回は本郷キャンパスを中心に話してしまいましたが、駒場キャンパスにも貴重な文化資源が数多く存在します。


興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非ご自身で調べてもらえればと思います。インターネットで調べるだけでも、かなりいろいろなことを知ることができます。

歴史ある存在としての東京大学、その歴史を教えてくれる存在としての文化資源、知れば知るほど面白いですよ〜。


それではまた!


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