2022-04 東大の科類について

2021年9月15日水曜日

科類 進学選択

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こんにちは!理科二類2年のR.I.です。


東京大学を目指すみなさん、出願する科類はもう決まりましたか?


まだ決めかねている方、一応決めたけど将来の進路について不安が残る方も多くいらっしゃるかと思います。

自分の将来を左右する大きな選択ですので、慎重に決めたいですね。


そこでこの記事では、東大の科類について詳しく説明し、皆さんの科類選びにおいて有益な情報をお届けします。


なおこの記事は、9月19日実施の受験生・保護者向けオンライン説明会中の「東大受験での科類選び」のセクションと互いに補足し合う内容になっています。

是非そちらも合わせてご覧ください。


そもそも科類とは

東京大学では出願時に学部ではなく、文科二類や理科三類といった科類を選ぶわけですが、なぜこのような分類にするのでしょうか?

これは東京大学が1、2年の前期課程においては幅広いリベラル・アーツ教育をしっかり行うことを教育方針としているからです。


入学時から学部を決定するのではなく、学生は教養学部前期課程では広い基礎力を養い、どの専門分野にも通用する学問的力量を身につけます。

また、文理問わず様々な学問分野の最先端に接し、自らの適性を見極めます。


そうした前期課程の学修を終えた上で、2年生の途中の進学選択において学部を選び、後期課程の高度な専門教育に進みます。

大学入学後の学修を踏まえて改めて進路を決定する高度な選択性が、科類・進学選択制度の目的です。


進学選択についてより詳しく

進学選択制度によって2年生の途中で初めて学部を選ぶわけですが、具体的にどのような手順で進められるのしょうか。

説明会では時間の都合上話せなかった部分もありますので、参加なさった方もぜひ入念に読んでくださいね。


2年前半までの総合成績学生の志望によって、各学部・学科が定めた人数になるよう学生の進学先を内定させる手続きを「進学選択」と呼びます。


学生全員が自分の希望する学部に進学できるわけではなく、志望者の中で成績が優秀な人から順に内定が決まります。

大学受験と同じく、入学してからも競争があるわけです。


ですが、大学受験とは明確に異なる点があります。

それは定数が指定科類枠全科類枠に分けられることです。

全科類枠は全ての科類からの志望者が対象ですが、定数は少ない傾向にあります。

一方、指定科類枠はある特定の科類からの志望者のみが対象で、かつ定数は多くなっています。


つまり指定科類枠の対象となっている科類が、いわゆる「〇〇学部に行きやすい科類」になるわけです。

競争相手はある科類からの志望者に限られ、定数も多いわけですからね。


全科類枠での進学は一般的に指定科類枠よりも難しくなりますが、文字通りどの科類からでも志望できるので、文科類から理系の学部へ、理科類から文系の学科へという進学も全科類枠のおかげで可能になります。

ほぼ全ての学部に全科類枠はありますので、極論を言うと総合成績さえ良ければ、文理関わらずどの学部にも進学できます


なおここで言う総合成績とは、細かい算出方法は学部ごとに異なりますが、履修した全ての授業の平均点になります。

1年次と2年次の授業に重みの差はありませんので、入学しても気は抜けません。

補足ですが、農学部のみ平均点に単位数をかけた評点を使用します。


次に進学選択のスケジュールについてです。

実は内定者の決定は一度きりではなく、三段階に分けて行われます。

これも大学受験とは違いますね。第一段階で内定が決まらなかった人は第二段階に移行、第二段階で内定が決まらなかった人は第三段階に移行という流れになります。

ですので、ほぼ全ての学生はどこかしらの学部に内定をもらいます。


各段階の概要をご説明します。


第一段階では学部定数の約7割が満たされます。

評価基準は総合成績のみであり、学生は志望をどこか一つだけ出すことができます。

何回かに分けて各学部の現時点での志望者全体の点数分布が発表されるので、学生はそれも参考にして8月末に最終志望登録を出します。


第一段階では、点数分布から見てほぼ確実に内定をもらえるだろう学部を選ぶ人や、内定をもらえないことを覚悟の上で少し難しい学部を選ぶ人など様々です。

ここだけの話、定数が1、2人ほどの極端に少ない枠では全員が尻込みした結果、誰も志望しないことが稀にあります。指定科類枠からですらかなり難しい学部に、何点であろうと内定がもらえるなんてことも。


第二段階では学部定数の残りの約3割が満たされます。

評価基準は総合成績に加えて、一部の学科で面接や志望理由書が用いられます。

また、学生は無制限に複数の学部を志望順に登録することができます。


内定先の決定には受入保留アルゴリズムが適応されており、志望の早いもの順に内定決定されないようになっています。

学生は自身が本当に志望する順番に登録し、ほとんどの場合そのいずれかの学部に内定をもらいます。


第二段階までで定数に満たなかった学部のみ第三段階を行います。

評価基準は第二段階に同じです。


長々とご説明しましたが、覚えておいて欲しいのは「定数は指定科類と全科類枠に分けられ、それにより科類ごとの難易度に差が生まれること」「内定者の決定は三段階から成り、ほぼ全ての学生はいずれかの学部に進学できること」の二つです。


↑ 今回読み漁った進学選択の手引き。実に複雑な制度です。

科類による二つの違い

これらを踏まえて、科類の違いの具体的な説明に移りましょう。

科類の制度上の違いは「① 1、2年次の必修科目」と「②進学選択における各学部の定数」の2つだけです。


①について文科二類は数学が必須、理科二・三類は生物が必須のようなイメージがあるかもしれません。


確かに各科類で必修の科目が異なりますが、その単位数はどの科類も4、5単位ほどです。

「単位」とは各講義で合格点を取れた際にもらえる終了証明のようなもので、東大では多くの場合1コマあたり2単位になります。


総合成績に大きく影響するほどの単位数ではありませんし、教授方も高校で授業を受けていない人がいることを前提に講義してくださいます。

自分の苦手な科目が必修だからといって、その科類を選ぶことを躊躇う必要はありません。


つまり科類選びにおいて本当に重要なのは、②進学選択における各学部の定数です。


科類ごとの特徴

それでは、科類ごとの特徴を簡単にまとめてみようと思います。

上で述べましたように、必修科目よりも進学が有利な学部にご注目ください。

各学部・学科への進学難易度については省略している部分もありますので、詳しく知りたい方は説明会をご覧ください。


説明の前に、進学難易度の分類は次の通りです。


① 標準   :東大生の平均

② 難しい  :全ての講義でしっかり対策

③ 特別難しい:東大生の上位2割


文科一類

「法と政治を中心にして社会科学全般の基礎を学び、関連する人文科学と自然科学の諸分野にわたって理解を深め、人間と社会について広い見識を養う。」(前期課程ホームページより引用)


必修科目について、基礎科目の社会科学8単位のうちに「法Ⅰ、法Ⅱ」4単位、または「政治Ⅰ、政治Ⅱ」4単位を含めることが必須です。


法学部への進学で最も有利であり、標準の成績で進学可能です。

教養学部後期課程の文系学科への進学で文科二類と並んで最も有利ですが、難易度は高い傾向にあります。


上記以外の文系の学部には文科一類の指定枠は存在しないので、全科類枠での競争になり、人気のある学部は難易度が非常に高くなります。

例を挙げると、経済学部への進学や、文学部と教育学部内の心理学科への進学は特別難しいレベルに当たります。


文科類全般に言えますが、理系の学部には全科類枠からの進学が標準レベルの学科があったり、教養学部後期課程・農学部の一部の学科に文科類の指定科類枠があったりと、いわゆる理転も選択肢の一つです。


文科二類

「経済を中心にして社会科学全般の基礎を学び、関連する人文科学と自然科学の諸分野にわたって理解を深め、人間と組織について広い見識を養う。」(前期課程ホームページより引用)


必修科目について、基礎科目の社会科学8単位のうちに「経済Ⅰ、経済Ⅱ、数学Ⅰ、数学Ⅱ」の中から4単位を含めることが必須です。


経済学部への進学で最も有利であり、標準の成績で進学可能です。

教養学部後期課程の文系学科への進学で文科一類と並んで最も有利ですが、難易度は高い傾向にあります。


上記以外の文系の学部には文科二類の指定枠は存在しないので、全科類枠での競争になり、人気のある学部は難易度が非常に高くなります。

例を挙げると、法学部への進学や、文学部と教育学部内の心理学科への進学は特別難しいレベルに当たります。


文科類全般に言えますが、理系の学部には全科類枠からの進学が標準レベルの学科があったり、教養学部後期課程・農学部の一部の学科に文科類の指定科類枠があったりと、いわゆる理転も選択肢の一つです。


文科三類

「言語、思想、歴史を中心にして人文科学全般の基礎を学び、関連する社会科学と自然科学の諸分野にわたって理解を深め、人間と文化的・社会的営為について広い見識を養う。」(前期課程ホームページより引用)


必修科目について、総合科目の必要単位数が4単位多くなっていますが、他の科類のような詳細な教科の条件ではありません。


文学部への進学で最も有利であり、多くの学科が標準レベルですが、社会学・社会心理学の一部の学科は難易度が高くなっています。

身体教育学科を除いた教育学部後期課程への進学で最も有利ですが、比較教育社会学・教育心理学の一部の学科は難易度が高くなっています。

教養学部後期課程の文系学科には文科三類の指定科類枠がありますが、どの学科も特別難しいレベルに当たります。


上記以外の文系の学部には文科三類の指定枠は存在しないので、全科類枠での競争になり、人気のある学部は難易度が非常に高くなります。

例を挙げると、法学部への進学や、経済学部への進学は特別難しいレベルに当たります。


文科類全般に言えますが、理系の学部には全科類枠からの進学が標準レベルの学科があったり、教養学部後期課程・農学部の一部の学科に文科類の指定科類枠があったりと、いわゆる理転も選択肢の一つです。


理科一類

「数学、物理学、化学を中心にして生命科学・物質科学・数理科学の基礎を学び、自然の基本法則についての探究心を養い科学や技術と社会の関わりについても理解を深める。」(前期課程ホームページより引用)


必修科目について、基礎科目の数理科学で演習2単位と基礎科目の物質科学で熱力学2単位が必須です。


工学部への進学で最も有利であり、多くの学科が標準レベルですが、航空宇宙学や電子情報工学など人気があり難易度の高い学科もいくつかあります。

薬学部への進学で理科三類と並んで最も有利であり、標準の成績で進学可能です。理学部の情報科学・物理学・天文学・数学・地球惑星物理学・化学への進学で最も有利ですが、上記の前半3つの学科は難易度の高い傾向にあります。

加えて、農学部の生物・環境工学にも理科一・三類の指定枠があります。


理科類全般に言えますが、理科類の指定枠が用意されている理系学科も多くあり、医学部健康総合科学科、教養学部後期課程の理系学科、農学部の一部学科、理学部の一部学科が挙げられます。


上記以外の理系の学部には理科一類の指定枠は存在しないので、全科類枠での競争になり、人気のある学部は難易度が非常に高くなります。

例を挙げると、医学部への進学は特別難しいレベルに当たります。


これも理科類全般に言えますが、文系の学部には全科類枠からの進学が標準レベルの学科があったり、レベルは特別難しいに当たりますが法学部・経済学部に理科類の指定科類枠があったりと、いわゆる文転も選択肢の一つです。


理科二類

「生物学、化学、物理学、を中心にして生命科学・物質科学・数理科学の基礎を学び、自然の基本法則に関する探究心を養い、科学や技術と社会の関わりについても理解を深める。」(前期課程ホームページより引用)


必修科目について理科三類と同じですが、基礎科目の生命科学で3単位と基礎科目の物質科学で化学熱力学2単位が必須です。


農学部の生命化学工学・応用生物学・森林生物科学・水圏生物科学・動物生命システム科学・獣医学・森林環境資源科学・生物環境工学・フィールド科学への進学で最も有利です。

理学部化学科に理科二類の指定枠があり、標準の成績で進学可能です。

工学部の一部学科に理科二・三類の指定枠があり、標準レベルから特別難しいレベルまで難易度は様々です。

薬学部に理科二類の指定枠がありますが、難易度は特別難しいに当たります。

医学部医学科に理科二類の指定枠がありますが、難易度は最難関と言えます。


理科類全般に言えますが、理科類の指定枠が用意されている理系学科も多くあり、医学部健康総合科学科、教養学部後期課程の理系学科、農学部の一部学科、理学部の一部学科が挙げられます。


上記以外の理系の学部には理科二類の指定枠は存在しないので、全科類枠での競争になり、人気のある学部は難易度が非常に高くなります。

例を挙げると、工学部建築学科や理学部情報科学科への進学は特別難しいレベルに当たります。


これも理科類全般に言えますが、文系の学部には全科類枠からの進学が標準レベルの学科があったり、レベルは特別難しいに当たりますが法学部・経済学部に理科類の指定科類枠があったりと、いわゆる文転も選択肢の一つです。


理科三類

「生物学、化学、物理学を中心にして生命科学・物質科学・数理科学の基礎を学び、人間についての探究心を養い、生命と社会の関わりについても理解を深める。」(前期課程ホームページより引用)


必修科目について理科二類と同じですが、基礎科目の生命科学で3単位と基礎科目の物質科学で化学熱力学2単位が必須です。


医学部医学科への進学で最も有利であり、標準の成績で進学できます。

薬学部への進学で理科一類と並んで最も有利であり、標準の成績で進学可能です。

工学部の一部学科に理科二・三類の指定枠があり、標準レベルから特別難しいレベルまで難易度は様々です。

加えて、農学部の生物・環境工学にも理科一・三類の指定枠があります。


理科類全般に言えますが、理科類の指定枠が用意されている理系学科も多くあり、医学部健康総合科学科、教養学部後期課程の理系学科、農学部の一部学科、理学部の一部学科が挙げられます。


上記以外の理系の学部には理科三類の指定枠は存在しないので、全科類枠での競争になり、人気のある学部は難易度が非常に高くなります。

例を挙げると、工学部建築学科や理学部情報科学科への進学は特別難しいレベルに当たります。


これも理科類全般に言えますが、文系の学部には全科類枠からの進学が標準レベルの学科があったり、レベルは特別難しいに当たりますが法学部・経済学部に理科類の指定科類枠があったりと、いわゆる文転も選択肢の一つです。


最後に

どうでしたか?それぞれの科類についてのイメージが掴めたのなら幸いです。

この記事では受験時の合格最低点について触れることはありませんでしたが、科類選びの際にはもちろん同じくらい重要な要素です。


将来進みたい進路のためにその学部への進学が有利な科類を選ぶのも、まだ進路が決まっていないから合格できる可能性の高い科類を選び入学後多くの学部を選べるよう努力するのも、人それぞれです。

ですがどの科類を選ぶにしても、今日の知識も元に自信を持ってその科類に挑んで欲しいと思います。


皆さんの受験が上手くいくことを心より願っています!頑張って!


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