2024-16 共通テストから二次試験までの過ごし方

2024年1月15日月曜日

受験勉強 二次試験

t f B! P L

はじめに

凛とした冷たい空気が身に沁みる今日この頃、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

こんにちは。東京大学文科一類1年のA.Y.と申します。


まずは共通テスト、お疲れ様でした。


波乱の共通テストもとうとう終わり、二次試験に向けていっそう勉強する時期になって参りました。共通テストの自己採点結果に一喜一憂してはいけない、と言われながらも完全に気持ちを切り替えることができず二次試験に集中できない方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、私や知人たちの経験から、共通テストから二次試験にかけての過ごし方についての記事をお届けします。


少しでも参考にしていただけたら幸いです。


昨年書かれたこちらの記事も参考にしてください。

2023-19 共通テストから二次試験までをどう過ごしたか


二次試験に向けた勉強方法


各科目、やはり過去問演習と添削が肝要です

過去問演習は時間を測って行ってください。


東大入試は問題が難しい上に量が多いです。たいてい時間が足りません。

本番で『問題を解かないという選択』をするのは非常に恐ろしく、勇気が必要です。

じっくり解くのも良いですが、一年分を通して演習する時には時間を区切って、問題の取捨選択の方法を身につけると良いと思います。


過去問演習の後は、学校・予備校の先生や通信教育による添削、または友達との相互添削を受け、そのフィードバックを次の演習に活かすと良いのではないでしょうか。

私は現役時代に不合格だったのですが、添削を活かしきれなかったことが大きな敗因だと考えています。

(この記事に書いてある私からのアドバイスは、自分の現役時代の不合格と一年後の合格を参考にしています。)


せっかく添削を受けたのですから、添削してもらって満足するのではなく、添削をフィードバックとして今後の自分の解答に活用することをお勧めします。


それでも演習ばかりしていると基礎が抜け落ちていることがあるので、移動時間で単語帳や資料集を読んでインプットも怠らないようにしましょう。


私の場合は過去問演習だけでなく、自分が今まで解いてきた問題集や模試の復習も並行して行なっていました。

実力のついたこの時期に、昔解いた問題を見返すことで自分の解けない分野・事項を再認識して自分の勉強に活かすことができるからです。


各科目のバランスとしては、アドバイスを集めると

  • 苦手科目メインで演習すべきです。

  • 得意科目を伸ばせば十分です。

  • 英語が特に大事です。

  • 国数英は力が落とさないように確認して、地歴は「まだ伸ばせる!」というイメージで偏りすぎないように勉強しました。

など個人の状況によって様々なスタンスがあるようです。


私は、毎日全ての科目に1時間以上は触れるように計画を立てて勉強していました。


また、共通テスト終了後から二次試験までの計画表を作成し、『いつ』『何を』やるかを視覚化しました。


もちろん計画表通りに勉強が進まないことも多々ありましたが、漫然と勉強するよりかはバランス良く勉強できましたし、自分の勉強が確実に進んでいるという自信にも繋がりました。

とはいえ、ここにあるのはあくまでも私自身の方法、そしてアドバイスを送って下さった方々の方法なので参考程度にして、現状を鑑みて自分に合った勉強をしてくださいね。


次に、実際に東大生にアンケートを取り、各科目ごとに頂いたアドバイスをまとめました。あくまで個々人の経験からのアドバイスですが、参考にして頂けたら幸いです。


英語


この時期はひたすらに過去問演習でした。


私は青本と赤本を両方使用して、解説や模範解答を読み比べながら演習を重ねていました。


要約と英作文、和訳は先生に添削をお願いしていました。


また、英作文に登場する使えそうな表現はノートに書き留めて、試験でスッとその表現が出せるようにしていました。


リスニングは、過去問演習を終わらせた後は近年の問題の2周目を行ったり、様々な模擬問題に取り組んだりしていました。


東大型リスニング3題を毎日演習して、リスニング力と集中力を鍛えました。

また、東大英語は問題量が多く時間が本当に足りないので、一年分の問題をまるごと120分で解く演習も3日に1年分くらいの頻度で行っていました。


私は共通テスト前から定期的に過去問演習をしていたので、2月時点で英語は過去問演習2周目に入っていました。


とはいえこれは私が浪人していたから出来たことだと思います。過去問演習は量も質も大切です。焦り過ぎず、問題と丁寧に向き合ってください。


問題が古くなればなるほど今とは形式が違いますので、今から過去問演習を始めるならば、直近の問題から遡って解いていくことをお勧めします。


私は英語が大の苦手だったのでこの時期は英語にかなりの時間を割いていました。

特に先生から返却された過去問演習の添削を受けて、「どこが」「どうして」ダメで、「どう改善すべき」なのかを分析してノートに書き留め、次の過去問演習に活かすようにしていました。



〈アンケートで募った東大生の経験/勉強方法〉

  • いかに1,2を速く解くか、いかにリスニングに備えて全力で聞きに行くか、いかに4の正誤をやり過ごすか、いかに5をスムーズに読み進めるか、と全体的にスピード感を鍛えた。試験中に予想外のことが起きるかもしれないので、もし英語がある程度得意なら時間を余らせて見直しに充てるやり方も良いと思う。

  • 過去問を解いて、高校の先生に添削をお願いした。リスニング対策の本を買って取り組んだ。

  • 毎日リスニング対策をした。(過去問、問題集、Tedなど)


英語は二次試験最後の科目です。

それまでの科目の出来で大きく心が動揺していてもしっかり目標点数が取れるよう、コツコツと演習を積み上げていってください。


国語


私は青本を使って過去問演習をしていました。

得意科目でしたのであまり時間を割かず、現代文/古文・漢文を1週間に2回くらいの頻度で解いて先生に添削をお願いしていました。


共通テストのマーク演習に重点を置いていると、気づかないうちに記述力が落ちています。

この時期はしっかり記述を行うことをお勧めします。

私は10年分余りの過去問演習を行いました。


現代文はとにかく東大現代文にもう一度慣れることを重視しました。

文系の方なら第4問の演習も忘れずにやりましょう!

「書ける」と思って演習をサボっていると、案外本番では書けないものです(実体験)。

今更現代文をやった所で何も変わらないと悲観する方もいるかもしれませんが、何もしないのならば記述力が衰えてしまいます。

現状維持のためにも、定期的に過去問の現代文を演習することをお勧めします。


また、古文・漢文の基礎を忘れてきているかもしれません。

東大国語は古文・漢文の文法事項や単語を理解しているかを受験生に問うてきます。

一度、単語帳や文法事項の確認を丁寧に行うと良いかもしれません。



〈アンケートで募った東大生からのアドバイス/勉強方法〉

  • 共通テストの、「いかに早く読み、処理し、解答をマークするか」という解き方を終え、二次試験の「テーマを把握し、展開を追いながら緻密に読む」やり方を取り戻すために過去問や受けたことのある模試の問題を読み込むことから始めた。読み方が合って来たら、通信教育の添削を頼ったり、友人と読み合ったりして解答を書く練習をした。古文や漢文は基本的な単語や文法、句法を繰り返し確認した。


東大入試の初めの科目が国語です。国語の出来次第でその後のメンタルが決まります。国語を軽視しすぎずに、拾える問題はしっかり拾っていきましょう。



数学

数学に関しては、周りの東大生は口を揃えて過去問演習と言います。

私も、過去問演習が大切だと思います。


共通テスト後は、予想以上に数学を自力で解く能力が衰えています。記述力を取り返すためにも、数学は定期的に解くことをお勧めします。


私は青本で1日に2題ほど解きつつ、ときどき1年分の演習をしていました。

1年分まるごとの演習ではなく1題ずつ解く際には、1題につき25分で何処まで解けるかを見ていました(文系数学は4題で100分)。


こうすることでしっかりと道筋をたてて解く力と、問題を時間内に取捨選択しつつ解く力を両方鍛えることができたのではないかと思います。

この時期には、合わせて10年分くらい過去問演習をしました。


数学はもしも答えがわからなくても解答を写して理解した気になるのではなく、どのようなテクニックや公式を用いればその解答に辿り着くのかを分析すると実力向上に繋がると思います。


また、私は数学も大の苦手でしたので、覚えていない解き方や公式、テクニックなどがあればノートに書き留め、度々見返していました。



社会


私は青本を使い、1年分の日本史と世界史をまとめて150分演習していました。

1年分の過去問を週に2回ほど演習をしていました。およそ10年分の過去問演習を行いました。


過去問演習をしない日には返却された添削を直したり、一問一答を解いていました。

また、過去問演習の息抜きに教科書や資料集を読み返していました。


共通テスト後には漢字やカタカナが曖昧になっています。

「わかるのに書けない」という悔しさを覚えないために、暗記事項を確認する際には書いて行うことをお勧めします。


東大社会も大変時間が厳しいです。問題の時間配分が一つの鍵です。時間を区切った過去問演習を頑張ってください。


〈アンケートで募った東大生からのアドバイス/勉強方法〉

  • 教科書の音読

  • 論述をひたすら書いて、字数の感覚と東大でありがちな問題を把握した。結局教科書と資料集を読み込むのが一番役に立った。

  • 論述をひたすら書いて、求められる視点を確認した。

  • 地理:『地理の研究』と、統計資料をいつも読んでいた。日本の地誌が弱かったので過去問を通じて学ぶこともあった

  • 世界史論述から逃げるな!!(浪人経験者より)


理科

私自身は理科を受けていませんが、他の方々から募った意見をまとめておきます。参考にしてください。


〈アンケートで募った東大生からのアドバイス/勉強方法〉

  • 10年分くらいの過去問と問題集の例題の徹底復習

  • 一日2,3年分の過去問を解き、前日は特に解法に注意すべき問題を復習した。

  • 自分でまとめていた解法ノートの見直し、初見で解けなかった過去問・模試の復習。この時期は新しい問題は毎日数題解くだけで復習メイン

  • 化学:主に暗記事項の確認だけした。

  • 問題の取捨選択を意識して、できるものを確実に取るようにしていた。


併願校の受験について

もちろん前期東大一本の方もいらっしゃるでしょうが、併願校を受験する受験生の方もいるでしょう。

私自身は共テ利用のみで併願校の受験を終えました。

そこで実際に併願校を受験した方々の経験/アドバイスをまとめました。


  • 私立試験の1週間前くらいをスタートとして、過去問を数年分解きました。ほかの方もそうだと思いますが、私立対策に時間をかけすぎるのはあまり良くないかと思います。東大対策の息抜きくらいの位置付けがちょうどいい気がしました。

  • 国英+共テ利用だったので国英の過去問2年分を試験日の3日前くらいにやりました。

  • 過去問を共通テスト直後と入試直前に数回分行いました。


などと、併願校受験にきちんと対策されている方が多いようです。

とはいえ、「形式の違いが大きかったので、東大以外の問題をやり過ぎると二兎を逃すことになりそうだと思い、結局東大の対策に終始した」という方もいます。


併願校対策は、入試の難易度と形式に慣れることを第一目標に過去問を演習するのが個人的には良いのではないかと考えます。


生活習慣にも気を払おう


万全の体調で二次試験に挑めるように生活習慣も心掛けましょう。

睡眠時間はしっかり取って、食事もきちんと食べましょう。ときどき椅子から立って体を動かすのも良いかもしれません。そして手洗いうがいマスクで感染症を予防しましょう。


また、早寝早起きを推奨します。東大の二次試験開始時刻は9:30です。

つまり、9:30までにはシャッキリと問題が解ける準備万端整った状態になる必要があります

私は受験生の時、東大の二次試験に合わせて生活習慣を調整し、9時には頭が冴えるようにしていました。


とはいえ、「1月下旬から2月頭にかけてコロナウイルスに感染していました」「試験一週間前にインフルエンザにかかりました」という東大生もいます。


どんなトラブルがあっても、それに不安を覚えすぎずに勉強することが大切なのかもしれません。


精神面について

 

受験勉強をしているうちに、次第に追い詰められていくこともあると思います。そこで、精神面で安定するために私たちが行っていたことを紹介します。

 

まずは「ゆとり」を残すことです

  • やけ食い

  • YouTubeや配信の視聴

  • SNSを見る

  • 受験以外の雑談をする

  • 東大にこだわりすぎない

などと、受験以外のことをする時間を多少確保するといいかもしれません。

国内最難関の東大を目指すことは特に大きな重圧を伴うことでしょう。

そして常に二次試験について考えていると視野が狭くなり、どんどん心が追い込まれていきます。


そこで、適度な息抜きをすることで心にゆとりが生まれやすくなります。

息抜きが「サボり」と思われないように、そしてある程度心が休まったら息抜きを切り上げられるように、保護者の方に協力してもらうのも良いかもしれません。

 

次に、一人で追い込まれないようにすることです

  • 友達/家族と勉強する

  • 友達とご飯を食べる

  • 家族からの応援メッセージを度々見る

などと、友達と一緒に時間を過ごしたり家族の応援を感じたりして、自分だけで思考が煮詰まりすぎないようにするのも一つの方法です。

 

また、生活にメリハリをつけることも大切です

  • 勉強は学校の図書館だけで、家はリラックスする場所

  • 20時からは絶対に勉強を開始

などと、勉強とそれ以外にハッキリ区別をつけることで、ダラダラ勉強してしまうことやグダグダ息抜きを伸ばすことを防げます。

 

また、「共通テストの失敗は二次試験で取り返せると自分に言い聞かせて奮起する」という人もいました。

この時期にいっそう努力することはメンタルの安定につながる場合もあります。

 

人のメンタル安定方法は千差万別です。自分に合う方法で二次試験まで過ごしてくださいね。



最後に

 

今回ご紹介した様々なアドバイスはあくまでも個人個人の経験から生まれたものですので万人に当てはまるとは限りません。

それでも、少しでも受験生の皆さんのお役に立てれば幸いです。

 

二次試験が近づいているなかで、皆さんは焦っているかもしれません。

ですが、まだあと一ヶ月もあります。まだまだ成長できます。


東大入試は共通テストで失敗しても二次試験で挽回できるとよく言われます。

これは実際にその通りで、共通テストを足切りギリギリで切り抜けた知人もいます。

共通テストで思うように点が取れなくとも、二次試験で結果を出せば合格を掴み取れます。


これは逆も然りです。共通テストで上手くいっても、二次試験で失敗すれば不合格になってしまいます。

共通テストの結果がどうであれ諦めずに、そして油断せずに勉強しなければなりません。


今の時期に心身ともに健康を保ち、着実に努力を積み上げることで、いざ試験問題と対峙した時に「自分は努力した」という自信を持つことができるでしょう。

 

皆さんの合格をお祈り申し上げます。


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