こんにちは!経済学研究科修士2年のM.K.です。
3月で大学院修士課程を卒業し、4月からは社会人になります。
前回に引き続いて自分史のブログ。今回は大学生活後半編です。
おもに進学選択以降から現在に至るまでの私の大学生活を綴っていきます。
進学選択を経て専門分野へ
もともと環境問題を経済学の観点から研究したいと思っていた私。
先出ししておくと、大学院に進みたいというのも早い段階で決めていました。
そんな私は東大の文科二類に入学し、進学選択では希望どおり経済学部に進むことができました。
東大は「2年生まで教養学部」という制度ですが、実質的には進学選択が夏休みに終わって、2年生の後半(Aセメスターと言います)からは進学先の専門分野の勉強が始まります。
私も2年生後半から経済学の授業を本格的にとるようになり、3年生からはゼミにも入りました。(経済学部だと大半の人がゼミに入ります。)
複数のゼミに入ることも可能な制度になっているので、私も2つ入ることにしました。
一つは環境問題に精通している先生のゼミ。
もう一つは人柄がすごく好きになった先生のゼミ。
どちらも先輩や同期に恵まれ、オーソドックスに楽しく専門分野の勉強を進めました。
ただ、少しだけではありますが「なんか調子がよくないな」という感覚を抱いていたのも事実でした。
1〜2年生の教養学部時代は、大好きだった中国語を中心にすごくエネルギッシュに勉強していたはずが、この頃から授業中に集中力を失うことが出てきたんです。
成績も、教養学部時代に比べると悪くなりました。
3年生のAセメスターには初めて「不可」(授業を受けたけれど単位をもらえないこと)を経験しました。
あんなに学びたくて順調に進めたはずの経済学部なのにおかしいな…という違和感が生まれ始めました。
コロナ禍と学業不振の苦悩
そんな中、4年生に進む直前の春休みに新型コロナウイルスの流行が始まります。
東大もオンライン授業へと切り替わりました。
私は他の多くの学生と同じように自宅からオンライン授業を受ける毎日が始まりました。
親と同居していますので、孤独ではありませんでした。
もともと好きだったテレビドラマをたくさん見たり、このころ好きになった乃木坂46を応援したりして、リラックスはそれなりにできていたと思います。
しかし、生活のメインである学業で不振に陥ったことが大きすぎました。
3年生から少しずつ調子を落としていたなか、それまでゼミなどの仲間と話すことで頑張る活力を得ていた私は、独りでオンライン授業を受ける日々で学業のモチベーションを上げることができず、自分でも驚くほど授業についていけなくなりました。
特に、大学院の科目を先取りできる制度があったので頑張って受けていたのですが、全て英語かつ凄まじいスピードで、授業を受けては自信をなくしていく毎日でした。
かといって大学院進学一本で就活をしていなかったため勉強から逃げるという選択肢はなく、どうにかこうにか仲間にオンラインで助けてもらいながら綱渡りのような状態でした。
やや余談ですが、私の年の大学院入試は大学側が対面実施の余地を模索し続けたあげく、結局感染収束には至らなかったので秋にオンライン面接のみ・筆記試験断念という形になりました。
後述しますが大学院で出会った仲間のレベルの高さを見ると、もし筆記試験が行われていたら私は落ちていたんじゃないかと思っています。
まだ運には見放されていなかったのかもしれません。
そして4年生ですから卒業論文があります。
こればかりは自分で動きを生み出す以外に方法がありません。
幸いやりたいテーマは既にあったので、勉強の調子が悪い中でも卒業論文に頭を使うのはそこまで苦しくありませんでした。
私の卒業論文はアンケート回答をもとに統計的な手法で分析をするもの。
自分で「この方法で本当にあっているのかな」と不安になりつつ手探りで進んで、最後に完成したときはホッとしたのを覚えています。
決してレベルの高い論文を書いたわけではありませんでしたが、自分で一から考えて論文というものを作ったのは初めて。達成感がありました。
↑私が卒業論文で実施したアンケート調査。電力プランを選択するときに「CO2排出を1%減らすために何円までなら払ってよいと思うか」を分析しました。
大学院生活と回復への転機
2021年春に経済学部を卒業し、大学院の経済学研究科へ進学しました。
一学年100人のうち、同じ東大経済学部から進学したのが20〜30人ほど。
外部から受験した人が20人程度、そして留学生が50人程度です。
相変わらずオンライン授業主体の生活でしたが、同期が集うオンラインコミュニティがあり、そこで少しずつですが交流や情報交換をできるようになりました。
経済学部から進学した仲間は顔見知りも多く、やる気があってレベルの高いメンツだとわかっていましたが、外部からの方や留学生もみんな本当に経済学への情熱がある人ばかりで圧倒されました。
そんな中、大学院に進学してから私にとって最初のイベントは、教育実習でした。
この教育実習が意外にも、私が一連の不振から回復するきっかけになったんです。
私は将来の進路の幅を広げるためにと、大学2年時から教員免許を取得するための勉強をしていました。(詳述はしませんが、大学にはそのための課程がちゃんと用意されています。)
教育実習は教員免許を取るために必須です。
この教育実習、私にとっては当初憂鬱でした。
ただでさえ大学後半から勉強が不振だったうえに、大学院に進学してから必修の難しい授業がいくつもあって大変でした。
そこに教育実習が3週間も入って授業を休んだら、もっと置いていかれるんだろうなぁと。
ところが逆に、教育実習が私を助けてくれました。
かれこれ1年以上もオンライン生活が続いていた私にとって、マスクがあろうがディスタンスがあろうが、人が集まって活気の溢れている実習現場の高校は大きな刺激をくれました。
毎朝決まった時間に起きて歩いて、たくさんの人と挨拶する。
忘れかけていた感覚が蘇って、なんでも自己完結させてマイナス思考に陥っていた私の負のループを断ち切ってくれました。
もう一つ、自分の大きな転機となったものがあります。
それが修士1年生の秋から翌春にかけて参加した「Green Innovator Academy」というアカデミーでした。
これは簡単に言うと、環境問題解決に向けて活動している財団が、これからの環境対策を牽引するような若者を育てるために立ち上げたアカデミーです。
経済学の角度から環境問題解決に貢献しようと意気込んでいたものの、先述のとおりの学業不振。
かと言って学業以外の活動で何か環境のために貢献できているわけでもない。
自分の問題意識、いったいどうすればいいんだろう…。
そんなモヤモヤを少しでも払拭できるのではないか、何か一歩踏み出すきっかけが得られるんじゃないか。そんな思いで参加しました。
いざ参加してみると期待以上に、自分の環境問題に対する「思い」をさまざまな形で「行動」に変えている仲間に出会いました。
ディスカッションなどを通して、今まで自分に欠けていた視点やもっと知りたいことがたくさん見つかりました。
まだはっきりとした答えはないけれど、この人たちと一緒に、やっぱり自分は一生環境問題と向き合っていこう。そう決意を固められました。
進路選択、そして学業の集大成へ
大学院に進んだ私に課せられた最大の課題は進路選択でした。
大学進学・大学院進学はほとんど悩まなかった私にとって、人生初の本格的な「選択」。
私のいる経済学研究科は博士進学率がすごく高く、当初は私も博士進学が第一希望でした。
ただ、博士課程に進んだらどんなことをやりたいか、現実的に博士課程を卒業できそうか、そして博士進学以外ならどんな選択肢があるか。
色々考えた末、私は修士1年生の後半にはっきりと博士進学を断念し、就職活動一本に絞りました。
学部3年時にはほとんど就職活動に触れなかったので、スケジュール感などもわからず手探りの状態で就活に臨みました。
幸いだったのは、先述のアカデミーのおかげもあり「自分の就活の軸は環境問題に携われること」と固まっていたこと。
その軸を持った上でいろいろな要素を加味し、実際にさまざまな企業のインターンシップや説明会に参加しました。
3月から本格的に採用試験が始まり、私もエントリーシート提出や面接に追われる日々を過ごしました。
インターンシップで感触の良かった会社に書類で落ちたり、面接で手応えがあったのに落ちたり。
今まで経験したことのない難しさにも直面しましたが、ありがたいことにいくつかの会社からは内定をいただけて、最終的に修士2年生の6月ごろに進路を決定できました。
そこからは学業の集大成として修士論文に取りかかりました。
学部の卒業論文を書いた時に比べると心身の状態も良かったですし、一度経験しているぶん論文の難しさ・恐ろしさもわかった状態で滑り出しました。
大学院に進んでから出会った、環境問題にも詳しく指導も丁寧な先生のもと、自分でやりたいと思えるテーマを秋口までに固めて、本格的に始動しました。
もちろん卒業論文とは一段異なるレベルが要求されますし、学部4年〜修士1年時の勉強不足が祟ってしまった部分もありながら、モチベーションは高く保ったまま完成まで漕ぎ着けました。
まとめに代えて
ここまで、私の大学生活後半の「自分史」を見ていただきました。
長くなってしまったので、最後にこの進学選択から現在までの自分の気持ちの上がり下がりを大まかに可視化してまとめた「モチベーショングラフ」を添えたいと思います。
我ながら揺れの大きいグラフです。
でも本当にこの約4年間、自分の問題もあれば不可抗力もありましたが、まさに山あり谷ありだったと思います。
つらいこと、特にコロナ禍の苦悩は「あって良かった」とは今でも思えません。
でも、あのときに感じていたこと、やっていたこと、その延長線上に今いるんだということは認めてあげたいし、その道のりに納得もしています。
みなさんも大学に入ったのち、いろんな出来事に遭遇するでしょうし、それは良いものばかりではないかもしれません。
しかし、その一つ一つで経験したこと、考えたことを積み重ねて「自分」というものが作られていきます。
いつかみなさんが「自分史」を書く側になるときが来たら、良いことも悪いことも全部含めて、これが今の「自分」を作ってくれたんだなと納得して笑える、そんな大学生活でありますように。
お知らせ
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