こんにちは!文科一類2年のK.S.です。
今回のテーマは「推薦入試」、正確には「学校推薦型選抜」について。
受験を検討している皆さんはそろそろ「学校推薦型選抜」を受験するか決め、学校へ推薦願を提出したり、準備を始めたりする時期かと思います。
その中で未だ「どうしよう」と受験を決めかねている人も多いのではないでしょうか。
推薦要件や一般選抜との兼ね合いなど、不安は大きいですよね。
今回はそんな皆さんの不安にお応えし、学校推薦型選抜(長いので以下、「推薦入試」とします)を受験した私から推薦入試を受けるメリット、デメリットを紹介していこうと思います!
と、ここまで偉そうに書いてきましたが、実は私は推薦入試合格者、いわゆる「推薦生」ではありません。
正確には、最終の面接まで進んだものの、そこで不合格となり、同年度の一般選抜で合格して入学した人間なのです。
つまり、現役生なのに東大に落ちた経験のある、不思議な人なのですね(笑)。
よって、詳しい「推薦生」の生活や実態、そこから見た推薦入試に関するあれこれなどは大学本部の情報発信ページや推薦生が書いた過去のブログにお任せし、私は私だからこそできる話、すなわち(不合格でも)推薦入試を受けて良かったことや一般入試との兼ね合いについて話していこうと思います!
では、早速本題に入っていきましょう!
推薦入試を受ける意味って?
推薦入試に合格した場合、一般入試合格者と比べ様々な優遇が受けられることは多くの方がご存じでしょう。
例えば、私が受験した法学部を例に取ると、「令和5(2023)年度 東京大学学校推薦型選抜 学生募集要項」の19頁では
・学部1年生から法学部専門科目の受講を許可
・学部3年生から大学院(法学政治学研究科総合法政専攻)の科目の履修を許可
・履修について個別に助言・支援する教員を配置
とあります。
普通は学部2年からしか法学部専門科目の履修はできない上、大学院科目は当然ながら大学院入学後でないと履修できず、早くから専門的な授業を受けられることはとても大きなメリットと言えます。
また、個別に教員が配置されることもとても羨ましいです。
募集要項の各学部の部分を見ると、法学部だけでなく多くの学部が似たような優遇措置を設けていることがわかります。
ここから合格した場合の推薦入試を受けるメリットは一目瞭然ですね。
ただ、合格していない私は当然ながらこれらの措置は適用されず、一般の学生と同じように履修をしています。
これでは推薦入試を受けた苦労は無駄になってしまった...そう言えるかもしれません。
しかし、実は私はそのようには考えていません。
推薦入試を受けたからこそ得られたものがあったと思っています。
それをこれから話していきますね。
1. 自分の興味関心を具体化できたこと
私は推薦入試の受験を決めた当時、法学に強い興味はあった(だからこそ受験を決めた)ものの、その中でどのようなことをしたいのかまでは「少年法について学びたいな」位の抽象的なイメージがあるのみで、まだ具体化できていませんでした。
しかし、推薦入試の準備の中で自分の興味関心を言語化することを求められたことで、今まで自分の頭の中にあったぼんやりとした考えに言葉を与え、「少年法の理念と加害少年への社会的制裁の乖離、法が社会へ与える影響とその限界」について考えたいのだと、具体性を持った考えを持つことができました。
そして、今は私はそれを土台として考え、「法と教育の関連; 加害者を生まないため、加害者を受容できる社会のため、法と教育はどのような関係にあるべきか」ということについて考えたいと思い、法学と教育学、加えて心理学を中心に据えて学修をしています。
このように、私は推薦入試を通してその先の学修の核となる考えを手に入れることができました。
これは推薦入試を受けたからこそで、一般入試しか受けていなかったら今頃まだぼんやりとしながら惰性で学生生活を送っていたのではないかと考えています。
2. 他者から多くの刺激をもらえたこと
私が受験した法学部では推薦入試ではグループディスカッションと個人面接が課せられるため、入試当日私は多くの受験生や面接担当の教員と話し、議論し、時には批判され、非常に多くの刺激を得ることができました。
同級生とは思えないほどに様々なことを知り、考えている受験生、自分の盲点となっていた部分を鋭く指摘してくる教員、これらの方々と接する中で「こんな考え方もあるのか」「そこは考えが及ばなかった」「自分もこうなりたい」などと様々なことを考えました。
受験生や教員と交流する機会があるのは法学部に限らず、他学部も多かれ少なかれそのような機会は必ずあります。
受験ということを抜きにして考えてみると、その道のプロである教員やレベルの高い受験生と交流できるのは滅多にない貴重な機会だと言えます。
一般選抜との兼ね合い
推薦出願を迷っている人にとって、一番ネックなのはこの点でしょう。
東大は「一般選抜」と「学校推薦型選抜」の併願を認めていますが、だからといって使える時間全てを勉強に費やしている一般選抜受験生と対等に戦えるのか、不安が残ると思います。
これに関して、私個人は自分の実感として、決して楽ではないが、思っているよりは何とかなると感じています。
まず、推薦入試と一般選抜の兼ね合いは決して甘く見てはいけないのは事実です。
皆さんが思っている通り、勉強に費やせる時間の差は当然出てきます。
残された限られた時間の中で、一般の受験生との差を埋め、限られた枠に滑り込まなくてはなりません。
それに、推薦入試最終合格発表は一般選抜の第一段階選抜合格者発表(いわゆる「足切り」発表)と同日、つまり一般選抜二次試験の約1週間前です。
1週間で不合格となったショックから立ち直り、一般選抜に挑むのはかなりメンタル面での強さが必要です。
相応の覚悟はしておいてください。
と、脅すようなことを言いましたが、一方でそんな悲観的になることはないです。
僕の実感からも言えることですが、他の受験生との差は思っている以上に僅かです。
残された勉強時間の中で、勉強の質を上げる努力をすれば十分に埋められる差です。
しっかりと考え、戦略を立て、効率良く学習を進めていけば一般選抜で「逆転合格」することは可能です。
そして、推薦を受けることを検討するような優秀な皆さんならば、そのための力は既に持っているはずです。
何より、最強のロールモデルがここにいます!笑
推薦入試のススメ
さて、ここまでで色々なことを述べてきましたが、全てを総合して私が言いたいことは
「積極的に推薦入試を検討して欲しい」
ということです。
推薦要件をある程度満たしていると思えるのならば、そしてその学問分野に強い関心があるのならば、躊躇わず推薦入試を狙っていきましょう!
もちろん、リスクは承知しておいて欲しいですが、それでも得られるものは大きいと私は考えています。
最後に、不合格だった私から、皆さんが同じ轍を踏まないよう、「こうしとけばよかった」という点をお伝えしますね。
1、大学のことをよく調べるべし
某有名テレビ番組ではないですが、教員は「なぜあなたは東大に?」を問うてきます。
2、自分の関心ある学問領域のことも、それ以外のことも、多面的に知るべし
様々な本を読み、ネットで調べ、様々なトピックについて多面的な視点を獲得しておきましょう。
3、自分の論を批判的に見るべし
自分の見解に批判的な視点からの意見も考えて書類を作成すると共に、その意見への反論を準備しておきましょう。
学校の先生など、第三者に志願理由書などを見てもらうことをオススメします。
皆さんが「学校推薦型選抜」合格者として来年の春東大の門をくぐっていますように。
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次回は【9/7】コロナ禍での授業形式についてお届けします!